電子署名を導入して、印鑑から解放されよう!
いつも弊社のブログをお読みいただきありがとうございます。バイス・ネットで電子署名サービスを担当しております。
法人企業向けに電子署名の導入するための検討フェーズで、よく話題になる印鑑問題について、今回ブログ記事にしたいと思います。 電子署名の導入でよく直面するこの課題について、読者様の参考となり、電子署名の導入につながることを期待します。
【目次】
これまでの日本企業における契約文化
インターネットを利用した電子署名サービスは、ここ5年ぐらいで広まってきたと感じますが、従来の日本企業の契約行為で用いられたものは、紙の文書と印鑑ではないでしょうか。そして、まだこの文化が根強く残っていると思います。
電子署名サービスにおいては、日本企業が開発しているサービスもありますが、海外のグローバル企業が開発したものを、日本向けにローカライズしているサービスと大きく2つに分かれます。
海外には印鑑という文化が存在しないので、署名(サイン)が、同意や承認といった証跡になります。 一方で、日本では、証跡を印鑑で行うというのが多いのではないでしょうか。
ここで、電子署名サービスを新たに利用する際に、これまで使ってきた印鑑が必要ないことにお気づきでしょうか。 しかし、これまでの押印文化から脱却できずに、電子署名サービスでも印鑑(ここでは、電子印)を継続して、運用する傾向があります。
そこで、本来の印鑑の意味や、電子署名でも印鑑を使うことについて、お話ししたいと思います。
そもそも印鑑という魔法
会社の組織で利用される印鑑には色々な種類がありますが、法人として第三者(法務局)に申請している印鑑は、一般的に代表者印のみとなります。別名は会社実印や丸印とも呼ばれます。一方、それ以外の会社印(角印)や部長印、その他役職印などは全て認印になります。
これらの認印は、その会社自身が独自で定めた印鑑となり、第三者はその印影に対して、証明する事ができない印鑑となっていますが、契約書や受発注書類などの証憑書類には、この認印が往々に利用されています。
この認印については、その企業ごとに印章管理規程や職務権限規程で定められ、印鑑は施錠された場所に保管されたり、会社の規定に沿って、押印の運用管理が行われているとは思います。
取引先から見ると、その事実について確認することは、難しいと思うので、この時点で取引先を信用した上で契約することになりますよね。
一般的な証憑書類に、押印された認印を信じるという事は、 以下と同じ事になります。
- 取引先が独自で定めたルールで運用されている印影を信じる
- 印章管理の実体は分からないけど、その会社を信用する
これが「日本のビジネスにおける慣習かー」と思うとゾッとしますね!
実際には、以下のような感覚で、皆さん、実施されていると思います。
- あの会社の〇〇さんとやり取りして、もらった印影だから~
- あの会社の会社名と部門名が記載されている印影だから~
- 過去の契約書に押印してある印影と同じだから~
従って、重要な契約には、第三者が証明できる代表者印を求められる理由もお分かりかと思います。
ただ、今の時代は3Dプリンタが手軽に利用できるため、悪意を持ってしまえば、スマホやスキャナーで印影を撮影され、簡単に印影や印鑑の複製も可能で、代表者印も例外ではありません。
そう思うと、紙への押印、印鑑を使った業務って怖くないですか??
歴史を遡れば、印鑑の発祥は紀元前のメソポタミア。その後、世界へ広がり中国から日本へと伝わりましたが、現代のビジネスにおいて印鑑を使用する国は日本のみといわれており、現在では中国も印鑑制度すらありません。
つまり、紙文書に押印された印影には脆弱性がある事を理解しているにも関わらず、信用取引を行う上で、それっぽいことを印象付けするための魔法行為で、日本企業の多くはこの魔法から解けていない。脱却できていないのが現状かと思います。
法律的な観点で見た時に、契約書に印鑑は必要なのか?
契約書や受発注書類などの証憑書類に、押印は必要としていません。
押印があったほうがより、信用度が高まるといった意見も見受けられますが、認印を用いる場合は所詮、認印。
代表者印を用いる場合も上記の通り脆弱性がある事を認識した上で利用する必要があります。
契約行為そのものは双方が合意した時に成立する内容ですが、紙媒体が主流だった時代の押印、契印、割印など、それぞれ意味を持つ押印儀式によって合意したとする慣習になっているだけです。
また、民事訴訟法の分野で使われる「二段の推定」という考え方もありますが、あくまでも推定で、反証が無い場合に限りに、本人の意思で作成されたことを証明する考え方になります。 従って、反証があれば、押印されていても、判決は覆ります。
とはいえ、相手が求めてきた方法が、〇〇の押印が必要と言われれば、物事は進めるために、それに応じることになりますよね。
ここには取引する際の上下関係が存在するので上の立場に立てる場合は、今後、押印を求めない努力をすることが理想です。
もし、あなたの会社が押印を求める側の会社なのであれば、取引先に出社を強要し、正体不明の認印(ここでは実印は除きます)を必要としているのは、過去の風習から脱却できない会社となります。
実際、担当者からすると、社内に存在するルールに従っているだけで、押印を必要としないようにするには、社内規程やルールを見直す必要があるため、容易ではない事が考えられます。特に、会社の規模が大きいほど、社内規定を変更するには、大変な作業になることを想像できます。
ここまでの内容から、一般的な契約書や受発注書類などの証憑書類には、認印による押印は不要であるため、電子署名サービスを導入すれば、電子署名と電子証明書で高い信頼性での合意が確立できます。
それでも印鑑って便利な側面もある
とはいえ、それっぽい印鑑(認印)を利用するだけで相手が信用してくれ、代表者の意思を代理人が表現できる便利な道具であった事には違いありません。
また、紙文書と電子文書での契約・合意については法的解釈と証明方法の違いが存在し、運用検討する上で課題となりがちな代理署名の考え方について、次回の記事にしたいと思います。
最後になりましたが、本記事を最後までお読みいただきありがとうございました。感想やご指摘などは、お問い合わせから気軽に送っていただけると、ご連絡いただいたメールアドレスへ返信させていただきます。